日本の文化の1つでもある漫画。漫画には名作と呼ばれる作品が数多くあります。最近は漫画喫茶やコミックレンタルや電子書籍など簡単様々な漫画が読めるようになりました。
しかし逆に漫画が多すぎてかなり有名な作品ならまだしも、本当に自分が好き漫画に到達するのも時間がかかってしまうのが実状です。
今回は数ある名作の中から私がおすすめする漫画をご紹介します。
今回紹介する作品はかなり有名な作品も記載していますが、ほとんどが比較的マニアックな作品です。マニアックな作品が好きな方には特におすすめです。
今回は一番有名であろう週刊少年ジャンプ関連の商品は除外しています。
目次にてカテゴリ分けしていますので好きなジャンルで探してみるのもありです。
ファンタジー系
七つの大罪
舞台は、いまだかつて、人と人ならざる者の世界が隔たれていなかった古の時代のブリタニア。
ブリタニアの大国リオネスでは、聖戦に備え軍事力強化をはかる聖騎士たちの暴挙により、国民たちは日々苦しい生活を強いられていた。
国の一大事を憂いたリオネス王国第3王女、エリザベスは、かつて大罪人の濡れ衣を着せられ国を追われた伝説の騎士団「七つの大罪」を探す旅にでる。
一方、七つの大罪団長、メリオダスは、散り散りになっていたかつての仲間を探して、しゃべる豚ホークと共に酒場を営んでいた。
エリザベスとメリオダス、二人が出逢ったことで物語は動き出す。
ストーリーは、ファンタジー少年漫画の王道といった雰囲気です。
主人公もその仲間たちも強くてかっこいいです。
ヒロインや、でてくる女の子のキャラクターもとってもかわいい。
どんどん強い敵キャラが出てきたり、なにかをきっかけに突然主人公が強くなったり、定番といえば定番の設定ではありますが、個性的なキャラクターや、個々のバックグラウンド、バトルシーンのかっこよさ、引き込まれます。
好みはありますが、絵も見やすいです。
2014年にはアニメ化され、2016年には発行部数2000万部を突破する人気っぷりです。
ダンジョン飯
「ひきだしにテラリウム」の九井諒子さんの連載作品です。
様々な賞を受賞し、芸能人や漫画好きがこぞって面白いと紹介し今やマイナー作品では無くなりました。
内容は、冒険者ライオス率いるパーティが疲労と空腹のせいでダンジョン探索を失敗してしまった事をきっかけに、ダンジョン内で自給自足をする決意をし再度ダンジョンに挑みます。モンスターを使った料理を研究するドワーフ、センシをパーティに加えスライムやバジリスク等、RPGに出てくるお馴染みのモンスターを美味しそうな料理にして食らい尽します。
その料理はどれもしっかり設定がなされていて、調理中の描写に妙なリアリティがあります。以前に使ったモンスター食材を保存して違う回に使ったり、モンスター個々がどういうメカニズムで生きているのかをしっかり設定しており、だんだんとモンスターが美味しそうに見えてくるのが不思議です。
またキャラクターも魅力的で、主人公ライオスはもちろん、モンスターを食べる事に抵抗し続けるエルフのマルシルや、妙に冷静にモンスター料理を分析するチルチャック、もはや冒険者というよりモンスター料理の専門家のようなドワーフ、センシ等出てくるキャラクターそれぞれのモンスター食への考え方、向き合い方など本当に読んでいて飽きない作品です。
マギ
マギは謎の少年アラジンとひょんなことから出会ったアリババがそれぞれの目的に向かって冒険していく物語です。
最初のうちは仲間たちと出会い、敵と戦っていく他の少年漫画とさほど変わらない内容かなと思って読んでいましたが、話がすすむうちにどんどん世界観が壮大になっていきぐいぐいと物語に引き込まれていきます。
話が入り組んできて複雑になっていき次の巻を読むまでに間があくと、ところどころわからなくなるところもあるのですが、その複雑さが最後の着地点はどうなるのかまったく想像させずに面白いまま読みすすめていけます。
何よりも少年漫画としては珍しいくらい絵が可愛いので女性でも入りやすい漫画だと思います。
そして可愛いだけじゃなく、絵が本当にきれいで絵を見ているだけでも楽しいです。
一コマ一コマ繊細な線で背景や細かい部分まできれいに描かれていてこれを週刊で書かれているのが素晴らしいと思います。
そしてキャラクターそれぞれの個性も際立っていて心理描写がとても上手に描かれているなと感じます。
だからこそファンタジーの世界なのだけれど感情移入してしまう場面も多く何度も涙しました。
全体的にはすごく優しい物語になっていると思います。主人公のアリババは決して強くはないのですが、優しさがあり、だからこそ周りと助け合っていく姿はただ強くて格好いい主人公とは違い、力だけではない本当の強さを教えられるようで穏やかな気持ちで読むことが出来ます。
最終章に入ってしまいましたがまだまだどうなるかわからない「マギ」から最後まで目が離せません。
この素晴らしい世界に祝福を!
もともとは某小説投稿サイトで連載されていた小説のコミカライズ作品です。異世界転移モノはある時期から爆発的に需要が増えましたが、実際人気作になるのは限られたものしかありませんでした。
異世界転移モノを求めるユーザーはとくに若い年齢層が多く、ゲームの中に自分も入って体験したいという需要を満たす必要があり、物語を楽しむというより冒険自体にストレスフリーな傾向の作品が好まれますが、この作品は違います。
異世界転移ものなのに主人公は弱いし、仲間は弱いし、お金は無いし、感動的なエピソードでも最後にしっかりをオチを入れます。
どちらかというと、異世界転移モノといえばコレ…というテンプレートから外れたのがヒットの要因だったのでしょう。
ジャンルで言えばギャグ枠だと思います。キャラクターはどれも個性的で愛嬌があり、なによりも種類が豊富で共感できるキャラ好きになれるキャラがたくさんいます。
毒づく言葉使いも多いですが、その割には嫌みも無く、狙った下品さにセンスを感じます。テンポのいいノリやコメディーは小説よりも漫画の方がスピード感があって面白いですし、どうしても言葉で描写しきれないところもでてきますからね。
そういった意味でのコミカライズ化、アニメ化はこの作品にとって非常に相性がよかったのでしょう。
全編楽しんで読む事が出来ました。
ふらいんぐうぃっち
石塚千尋による見習い魔女、木幡真琴とその周囲の人間の日常を描く漫画作品。
人気を得て連載開始から3年でアニメ化される等、注目度も高い作品です。
15歳になったら家を出て独立する「魔女のしきたり」等、某ジブリ作品を連想する人も多そうですが、あの作品程感傷的でなくストーリーとしては日常の中の非日常をコミカルに、ある意味平たんに描いたライフストーリーといった感じです。
緩やかな雰囲気の毎日に、魔女のちょっとしたエッセンスが入った描写が見ていて優しい気持ちになれる漫画ですね。
こういった現代社会の中に非現実的なファンタジー要素を盛り込む作品は数多くありますが、この作品は混ぜ方が絶妙で、過剰でない分妙なリアリティがあり、空いた時間に簡単に読めるのもいいですね。
主人公木幡真琴は15歳でまだ見習いなのにも関わらずとても落ち着いており、何も知らない私達にとっては優しいお姉さんのような感じがします。
出てくるキャラクターも個性的ではあるものの、実際にどこかで会った事があるような気がする絶妙なバランスで配置されていて、まるで自分の生活の隣にこんな人達が住るんじゃないかと錯覚するほどです。
淡泊過ぎず感傷的すぎず、いい距離感で接してくれる漫画ですね。
鋼の錬金術師
舞台は錬金術が普通に存在する世界。
錬金術最大の禁忌である「人体練成」を行った代償として手足を失った兄のエドワードと、身体全てを失った弟のアルフォンスが元の姿に戻るために旅をするというストーリー。
舞台設定の緻密さやストーリー、キャラクター、メッセージ性においてこれほど解りやすく万人に好かれるファンタジー作品はほとんどありませんね。
スチームパンク的な形相を持つ世界でそれぞれの目的のために個性的なキャラクターが走り回る姿に、今でも数多くのファンがいます。二度のアニメ化もうなずけますね。アニメは両作品ともかなり出来が良いです。2作目は前半がかなり端折っているところがあるので前作で補完してみると良いでしょう。
何か成し遂げなければならない目的があり、仲間と共に旅をしていくというのは王道の設定ではあるものの、作品の根本にある「人間とは何か」「死とは何か」を考えさせられる作品です。
定義付けるごと自体を避けられてきた問題を解決しなくては進めない主人公達が、それぞれの答えを探す旅をしていく姿に「がんばれ!」と応援したくなります。
作者が女性だからなのか、王道な少年漫画のような側面でけでなく、キャラクターの内側の個性も豊かですし、グロテスクな表現が多いのにもかかわらず、気持ち悪さや嫌な感じがしないのは絵柄のセンスと選ぶ言葉づかいのセンスなのでしょう。
私は男ですが、個人的には作者の荒川さんが書くおっさん共がかっこよくて好きです。
将国のアルタイル
戦記ものが好きな方には是非読んで欲しい一冊。ルメリアナ大陸にあるトルキエ将国の若き将軍である主人公マフムートは、とあることで降格を余儀なくされる。国外を見聞する中、やがて大陸西方の軍事大国であるバルトライン帝国の侵略が始まり、世界は大きな変動の時代へ突入していく。そんな中で物語は主人公を中心に展開していくことになる。
最初に戦記ものとして見逃せないのが、この作品を彩る登場人物達の知略戦。主人公のマフムートだけでなく、幾人ものキャラが知略を巡らして戦争を戦い、そして知恵を絞って国とそこに住む民を守ろうとする。またそこに各キャラの思いや生き様が読み取れ、物語を一層分厚いものへと変えている。作品の描画もうまくそれを表現していて秀逸であると私は思う。
同じく戦争に翻弄されている人がうまく描かれているのもこの作品の良い所の1つです。帝国軍の陸軍大将でありながら国の戦争政策に反対の立場にいるピノーが主人公との戦いに敗れ、そして首をとられる時に笑みを浮かべる場面は読者の心にぐっとくるような思いを抱かせる。もちろんそれだけではなく、この作品ではこのような登場人物の生き様を読者にぶつけてくるシーンが幾つも表現されている。
1度は目にしたことがある薄いバックボーンの戦記ではない。この作品には戦争を生きるリアルな思いが詰まっている。戦記ものを読みたいと思ったなら、まず1番に手にとってもいい最高峰の漫画である。
牙の旅商人
世紀末のような救いのない残酷な世界を舞台に、家族を皆殺しにされ、その復讐をする為にも生き続けることを選んだ少年ソーナと何かしらの目的を持つ女武器商人ガラミィを軸に描いた作品。
退廃した町並みや絶望している多くの人々、そしてそれに対比するかのように描かれた豊かな人々の狂気、またそんな世界に住む化け物やアンデッドなど暗く陰湿とした世界感を表現した細かな描写は秀逸です。読んでいて迷い込んだかのようなリアルさがそこにはあります。またその化け物たちとの戦闘シーンもリアルな世界感を逸脱しない範囲で収められながら、その上で1つ1つの行動が激しさと切迫感に満ちた描写で表現されておりかなりの迫力です。
また少年ソーナの成長もこの作品の売りの1つだと私は思います。ぶれない芯の通ったガラミィの言動に対して、ソーナは物語の中で多くのものに触れて経験し、そして変わっていきます。復讐というマイナスな感情から始まりつつも、途中から主要人物に加わるアイリ王女を守ると誓う場面はそれが顕著に現れたところで、この作品の中の名シーンの1つだと私は思います。
そして同時にこのような名シーンがこの作品の中には数多く詰まっています。退廃し、陰湿な世界だからこそ、そこに生きる登場人物たちが命がけで選んだ選択とその行動はこの作品の読者に強烈なメッセージを投げかけ、かっこいい生き様を見せてくれるのです。
最後にダークファンタジー好きの方なら読んで間違いない作品です。1度も読んだことのない方なら手に取ることを私はお薦めします。
ヒストリエ
この漫画は「寄生獣」で有名な漫画家である岩明均による歴史大作です。
デビュー前から温めていたという話しがあるように、非常に重厚で大きなテーマの作品で目が離せません。しかしそれだけのストーリーの進み方は遅く、その上コミックスが刊行されるペースもかなり長いのでやきもきさせられます。
主人公エウメネスはアレクサンドロス大王の書記官として有名な男性で、この作品は彼の幼少期から始まり、ギリシア文化の中で育ったスキタイ人という異端の存在としてマケドニア王国に仕えて行くのがストーリーなのですが、そのスキタイ人であることは作者によるオリジナルの設定です。
その他にもアレクサンドロス大王に関するオリジナルであろう設定もあり、大胆に脚色された史実の物語が一体どういう流れになっていくのかわくわくさせられており、私はこの作品のコミックスの発売を最も楽しみにしています。
特にエウメネスがその身ひとつで知恵を武器に難題にぶつかり成り上がっていくことがたまりません。その上、描かれる異民族への差別や異文化のぶつかり合いの様子が現代のグローバル化した世界を思わせて色々考えさせられます。たまたまネットで彼の人生の結末を知ってしまったのですが、この作品ではそれを回避されることを願っていますが、下手に変えられても不満かなと思いは複雑です。
人間ドラマ系
銀の匙 Silver Spoon
「鋼の錬金術師」の作者、荒川弘の実体験を基にした農業高校漫画です。
舞台となるのは北海道の農業高等学校で、絵はやはり前作を思わせるものの、話の組み立て方はがらっと変わっています。
一般的な日常漫画とは違い、しっかりと物語が順序立てて作られていて、農業高等学校に興味を持てない方でも十分に楽しめる作品になっています。
コメディ要素のテンポと、関係のないコマに差し込まれるクスッと笑える要素は前作同様健在で、のんびりしたイメージのあるテーマですが割と情報量多めで楽しめます。
アニメでも2期まで制作されていて、人気の高い作品。前作「鋼の錬金術師」が緻密に設計されたストーリーと「人とは何か」という大きく根本的なテーマだったのに比べ、今度は人間以外の生物と人間とのかかわり合いや、その命について考えさせられるテーマになっています。
共通しているのは「生きる」という事を真剣にとらえているという点でしょうか。
もちろん農業高校のあるあるネタや、苦労、楽しさをコメディタッチに描かれていて、ブクログ大賞やマンガ部門大賞、小学館漫画賞、少年向け部門受賞、さらには農林水産省主催の「コンテンツ・アワード・オブ・ジャパン・フード・カルチャー2013」でも大賞に輝いています。
大人はもちろん、子供の食育にもいい影響を与えてくれそうな漫画です。あの漫画を読んだ後だとご飯がものすごくおいしく感じるような気がします。
昭和元禄落語心中
本作品はその名の通り落語の話です。ちょっと取っ付きにくいかなぁと思う人もいるかもしれませんが、そこは漫画です、ぜひとも手に取ってください。落語を知らない方でも楽しめるし、もちろん、最高に面白いです。
最近は若者に落語ブームがきているので、落語好きな方にもお勧めします。
舞台は昭和50年代、刑務所帰りの主人公強次が慰問に訪れた八代目有楽亭八雲の落語に感動し、弟子になることをお願いしに行く所から始まります。八雲の過去と現実が交錯しながら、展開していくストーリーは見事の一言です。ともかく無駄な話しがないんです。どれもが素敵な話でストーリーを彩っていて、最後まできちんと楽しませてくれます。
最初から最後までちゃんとストーリーを練っている漫画って、とても稀有だと思います。ストーリーだけでなく、絵も素敵です。そして、誰に勧めても面白いと言ってもらえる漫画だと思います。「落語はちょっとなぁ…」と考えている人にこそ、お勧めしたい漫画です。漫画にハマることはもちろん、寄席にも行きたくなってしまうこと請け合いです。
最近アニメ化もされそちらもおすすめです。アニメでの落語シーンは声優さんのすごさがわかる場面で私おすすめのシーンです。
ばらかもん
『ガンガンパワード』で連載されたヨシノサツキによる、人生を書道に捧げた男と、移り住んだ田舎の日常を楽しむ癒し漫画。
主人公は書道家である半田清舟。彼はとあるパーティーで自分の作品を酷評した偉い方を感情のまま殴りつけてしまい、同じく書道家の父親に「人間として欠けている部分を見つけてこい」と自然豊かな五島へと送られます。
そこで天真爛漫な少女、琴石なる等の島の人達との生活に徐々に自分に何が足りなかったのかを見つめ直していきます。
主人公、半田清舟は決して粗暴な男では無く、どちらかと言うと心配症で気が弱い男で、そんな彼だからこそ今まで書道に捧げてきた人生を否定された気がして手を出してしまったのかもしれません。
主人公には成すべき事があり、その目的のために舞台となる五島へ来ます。
いわゆる田舎の日常系漫画ですが、最近の傾向においてはその土地の人に焦点を置いた作品が多い中、少し特殊な設定がされている作品ですね。
この作品の魅力はやはり主人公半田清舟と対をなす性格の少女、琴石なる。
最初は田舎独特の苦労や独自の食べ物に翻弄されたりしながら帰る事を望む主人公でしたが、彼女の天真爛漫さに振り回される内に徐々に島の生活に慣れ親しんでいくことになります。
蟲師
漆原友紀による大人向けファンタジー漫画。アニメ化はもちろん実写映画化もされ、今なお一番好きな漫画として語る有名人も多い作品です。
蟲師という生業で生活するギンコが、異業のモノ「蟲」によっておこされる様々な影響や事件を解決するというストーリーです。
基本的にストーリーは1話完結型で、どのお話からでも読むことができます。
主人公であるギンコが「蟲」の影響を受けた人々を助けるという基本スタンスがありますが、どちらかというと傍観者に近く、積極的に蟲を駆除したりせず、上手く共存できる方法を常に考えています。
漫画の表紙が毎回神秘的で、内容も期待を裏切りません。
基本的に「蟲」の影響に巻き込まれた人のもとにギンコが行き、改善策を模索すると言うストーリーになっています。
それぞれの物語で焦点を置かれる人達には「蟲」以外にも何かしらの事情があり、それに「蟲」が絡んでいきます。
ギンコはそういった精神的な部分にも踏み込んでケアをしていくカウンセラー的なポジションでもあり、時には研究者のように、時には用心棒のように「蟲」と対峙していきます。
「蟲」という異業のモノがメインテーマであるのにも関わらず、人間の優しさであったり、弱さであったりと物語上で語られるのは私達の世界とは違う世界で、私達と同じ悩みを持つ人間の姿です。
一週間フレンズ。
テレビアニメ化、さらには舞台化もされた葉月抹茶による記憶喪失モノの恋愛漫画。
1週間で友達との記憶を失くしてしまう少女、藤宮香織と彼女と仲良くなろうとする主人公、長谷祐樹の学生生活を描いた甘酸っぱい青春の物語。
4コマ漫画と通常のストーリー方式のミックスで描かれていて、すんなりと物語に入ることができます。
また期間の決まった記憶喪失モノはテーマとして重くなりがちですが、割とライトに描かれていて、普通の恋愛作品に近い心持ちで読める所も人気です。
この「一週間フレンズ。」のテーマと反した軽さというかライトさは、キャラクター達の絵柄のポップさと、少ない背景のシンプルさで意図して描かれたように感じます。テーマの重大さではなく、甘酸っぱい恋愛漫画として描く事で絶妙な浮遊感があるのでしょう。
何よりもキャラクター達がみんな前向きで、それぞれ悩み、仲間に相談したりはするものの、基本的には自分で答えを導いていきます。
メインキャラの藤宮香織と長谷祐樹はどちらとも非常に純粋な性格で、互いの事を尊重し、この二人のやりとりを見ているだけで優しい気持ちになれます。
日常系癒し漫画とはまた違った切り口の、妙に甘酸っぱい青春グラフティといった感じですね。
あまんちゅ!
「ARIA」の作者、天野こずえによるダイビング部とそこに所属する高校生達の物語。
東京から伊豆に引っ越してきた大木 双葉(てこ)。
もともと引っ込みがちな性格のてこは東京にいる友人との別れや、新しい生活への不安を抱えたままだった。
そんな彼女が伊豆の海でダイビングのインストラクターになる事を夢見る小日向 光(ぴかり)と出会うところから物語は始まる。
てことぴかりはダイビング部へ入部し、そこでの先輩や先生も交えた素敵な毎日を送る。
これはダイビング漫画ではありません。ダイビング部を舞台にした日常ドラマです。
「ARIA」の時から一つのキャラクターに様々なエピソードを使って深みを持たせるのが上手い作者さん。
アニメ化もされましたが、キャラクターの表情がていねいに描かれた漫画の方が個人的には好きです。
小説や漫画だと起承転結を重視した構成が良しとされていますが、この作者の作品は私達にも起こりうる本当に何でもない日常に多彩に色付けをしていて、起承転結とはまた別の漫画の楽しみ方を教えてくれます。
そして何より絵が美しい。本作品もそうですが前のARIAも動物キャラがめっちゃ可愛いです。背景に描かれた美しい自然、街並みに立つキャラクターの表情を見ているだけで涙が溢れそうになります。
SF系
シドニアの騎士
月刊アフタヌーンで連載された弐瓶勉のSF作品です。
前作「BLAME!」でも注目を集めていたSF作家の新作であったため連載当初から注目されていました。
彼の作品の特徴は夢物語だけのSFではなく、「命をかけた人間達の生きざま」にあります。男らしいというよりは冷静に人間が真剣に命に向き合う姿を描いているような印象で、戦う相手のバックボーンや彼らと戦う人間達の歴史、思惑がしっかりと描かれていて、物語に深みがあります。
大げさにジャンル士分けをするのであれば当然バトル物になるのでしょう。
しかしこの作品は読み手にも生きることの意味を考えさせられるストーリーにもなっています。
おそらく私達が辿る近未来の世界とは違う世界の物語なのに、キャラクター達の考えは妙に生々しく、リアリティがあります。
経験したことのない経験をしたような気分になりますね。
また彼の絵も様々な場所で評価されています。
特に私のおすすめは各話に差し込まれるシドニア百景です。毎回毎回気合の入った作画で見ごたえがあります。
スチームパンク的な世界観に近いですがレトロ感は無く、温度も無く、ただただ重量がある寂しい世界が主人公達の宿命を暗示しているように描かれています。
あえて表情を硬く描いているのかは解りませんが、この作品においては表情豊かなキャラクターよりも少々淡泊な表情の方があっていて良いと感じました。
All You Need Is Kill
もともとは桜坂洋原作のライトノベルを小畑健の作画によって漫画にしたものです。
近未来の地球で、異星人が地球に送りこんできたギタイと呼ばれる敵と戦うSF漫画ですが、メインのテーマは繰り返す時間。
機動ジャケットと名づけられたパワードスーツを使ってギタイと戦う戦士である主人公は、繰り返す時間の中で自分の技を研磨し、経験を積み重ねていくことになります。
いわゆるループ物ですが、この作品の面白さはそのループの中で着実に力をつけていく主人公と、小畑健の美しい作画です。
ストーリーの面白さも評価され、トム・クルーズ主演でハリウッドで映画化もされています。
死んで過去に戻りやり直すというループ物は名作が多く、国内外問わず数多く作られています。
この「All You Need Is Kill」はそんなループ物のいいところがすべて詰まっていると思います。
記憶を残したままやり直す事ができるなんて妄想は誰でも描きますし、いい事だけではなく、ループによって生まれるジレンマや一筋縄ではいかない敵の登場等、飽きさせないストーリー構成になっていて最後まで楽しめます。
また、漫画版では特殊部隊に所属しているリタ准尉の可愛さも光ります。
デスノートしかり小畑健が作画をする作品は次々に名作が生まれますね。
アクション系
彼岸島
彼岸島というホラー漫画です。
彼岸島の魅力はいくつもありますが、最初の設定が私の心に響きました。主人公が兄を探すため地図に載っていない彼岸島という吸血鬼が住む島に上陸して吸血鬼と戦いながら生活する物語です。
主人公の成長ぶりが著しく吸血鬼に怯えていた主人公が兄と出会い修行を行い、新しい才能に目覚めて吸血鬼を寄せ付けない強さはとても爽快感を感じました。吸血鬼は人間の血を摂らないと鬼という化け物に変異してしまうのですが、鬼のバリエーションがとても多く鬼の登場を楽しみにしています。
彼岸島の魅力の1つとして、主人公が使用する武器の1つである丸太があります。丸太を自由に振り回し吸血鬼を倒すのはスッキリします。吸血鬼のボスである雅との戦いは心が熱くなり、一緒に彼岸島に来た友人がどんどん死んでいく中で主人公との友情や恋愛なども見せ場の1つです。絶望的な彼岸島の生活でも決してめげずに生きていく主人公に自分自身が辛い時に勇気をもらう事もある私のお気に入りの漫画です。
東京喰種トーキョーグール
この漫画は石田スイによるもので現在は「東京喰種トーキョーグール:re」とタイトルを変えて連載されています。
この世界は人間と人間にそっくりな人しか食べれない「グール」と呼ばれる種族が争い合っているのですが、基本的に人間が優位でグールは駆逐される側です。その争いから生まれる悲劇、あるいはマイノリティーの悲哀を描いた作品と言えるでしょう。主人公カネキは元々人間なのですがひょんなことからグールの臓器を移植されて半グールになります。
人間しか食べれなくなることに絶望するのですが、殺人をしないことをモットーとする喫茶店のマスターや仲間に助けられ、人とグールの中間の存在として期待されながら強くなって行きます。
ですがまだまだ人とグールの溝は非常に深く、これから彼がどう解決して行くのか目が離せません。そして他には迫力のあるアクションシーンや耽美的な絵柄や演出もこの漫画の魅力として欠かすことはできないでしょう。
グールには赫子(かぐね)という触手みたいな武器があり、人間はその赫子を加工したクインケという武器で戦います。そのぶつかり合いや面白いビジュアルや使い方を見るのも楽しみのひとつです。
耽美的な絵柄や演出は人とグールの繊細な気持ちを表現しており、中々他の青年漫画、アクション漫画では見られないものなのでこの作品をとても印象づける、特別な作品にする大きな要素となっているでしょう。
刃牙道
刃牙道は板垣恵介が描いている格闘漫画の最新シリーズです。この漫画では、かの大剣豪武蔵が敵となって現れます。
シリーズの中で世界最強の男である父親である範馬勇次郎や、地球一の筋肉量を誇るオリバや、古代から蘇った原始人など、色々な敵を相手に戦ってきた刃牙ですが、いよいよ日本最強の男と言っても過言ではない宮本武蔵が登場しました。
最新科学技術により現代に蘇った宮本武蔵。彼の手により、過去に登場した最強の仲間たちが軽やかに倒されていきます。中国拳法の使い手である烈海王は武蔵の手により腹を一刀両断されてしまい、帰らぬ人となってしましました。
この漫画が真面目に格闘マンガをやっていた頃が懐かしいです。
地上最強の男を決めるトーナメント戦から始まり、死刑囚を含めた地上最強の男たちとの戦いまではまだ良かったのですが、バキの妄想で生み出した現実には存在しないカマキリとの対戦から物語がだいぶギャグテイストになってきました。
地球一の筋肉量を誇るオリバは軽々と牢屋の壁をぶち抜いたり、原始人が出てきて骨格を変えるほどの変形を見せたりなど、およそ格闘とはいえないほどの領域になってきました。
今、戦っている武蔵などもその内に、念力でも使って戦うのではないかと疑っている僕が居るのですが、それでもこの漫画をついつい見てしまうのは、やはり僕は刃牙という漫画が好きなんだと思います。
キリングバイツ
この漫画は動物になってその能力を駆使して戦う漫画です。
ヒロインの宇崎瞳(以下瞳)を中心に話が展開していき、この作品のタイトルにもなっているキリングバイツという大会に勝つ事が目的です。
瞳は先天的にラーテルという動物の能力を持っていて、一巻の初めは百獣の王のライオン相手戦い勝利を収めてから物語始まります。
主人公の野本という男子大学生のアパートに住み込み、キリングバイツに出る為には駒とプレイヤーが必要な為に野本を特訓したりもします。この作者の漫画の特徴としては動物や虫などの解説が随所に盛り込まれ、動物にあまり詳しくない私でも登場している動物について知る事が出来た漫画です。劇中に出てくる相手の動物の描写がリアルで細かい特徴も捉えているのもこの漫画の見所だと思います。男性キャラが動物になる時は主に上半身が動物に、女性キャラが変身する時は部分的な変身になるという青年誌ならではの描写が面白いです。
3人人組で戦うこの大会は所属する財閥が己の権力を主張する為に戦うという側面もあります。財閥の名前のオマージュも少し笑える名前なので、オマージュ元になった企業を探してみても良いかもしれません。
大会が終わった後に思いもよらない展開があり、別の主人公に変わって第2章が始まるという事で今後の展開が楽しみな漫画です。
からくりサーカス
藤田和日郎が描いた、からくりサーカスという漫画をご存知でしょうか。
前作であるうしおととらは最近アニメ化もされ、ご存知の方も多いと思います。
この作者の特徴として、序盤中盤に散りばめられた伏線が終盤に大きく纏まっていく点が挙げられます。
そしてキャラクターが皆熱い気持ちを持っている、少年漫画の王道を行く漫画です。
私はこの漫画に出てくるフランシーヌ人形というキャラクターがとても大好きです。
機械の体に錬金術の最高峰、賢者の石から生成された魔法の水を注ぎ、人間のように動くが人間の心が理解できず、主人に捨てられてしまったフランシーヌ人形は、自分の存在意義をなくし、機械技師の元に赴いて自分を破壊してもらうように頼みます。
機械技師はそれを断りますが、機械技師と妻とフランシーヌ人形との暮らしが始まります。
妻が子を生み、フランシーヌ人形も子育てに参加するのですが、その中でフランシーヌ人形は人間の心を獲得していくのです。
自分を壊して、と言った人形が、明日もあの子が笑うかしらと希望を抱いて生きている。
しかしある騒動が起き、村を襲う機械たちからフランシーヌ人形は子供を守って笑顔で死んでしまうのです。
何度読んでもフランシーヌ人形が死んでしまうシーンで泣いてしまいます。
コメディ系
WORKING!!
飲食店アルバイトのあるあるネタと、コメディのクオリティの高さで人気のWORKING!!。
近年の4コマ漫画ではめずらしく、しっかりとオチを配置してストーリーが展開させていて1冊読んだあとの満足感が違います。
4コマ以外の構成の時も派手なものではないにせよ、ストーリーがしっかりと考えられているので安心して読む事ができますね。
またキャラクター達の個性も豊かなのに、そこまで押しつけてこないのも好印象です。
あくまでキャラの個性はストーリー上のスパイスとして使われています。
アニメも3期目の放送がはじまり、まさにロングセラー作品となったWORKING!!。
作者の高津カリノさんは次作「サーバント×サービス」でも見られたように、実体験を二次創作に落とし込む天才で、面白く色づけし、かといって装飾しすぎず嫌みなく見る事が出来ます。
とても丁寧に現実社会に寄せながらも「ありえない」と思わせる設定を突然組み入れたり、エンターテイメントとしても良く考えられた作品だと思いますね。
4コマ漫画と言う事で簡単に読み始めたり読み終える事ができるので、移動中等のお供にもいい気がします。
実体験漫画としても、4コマ漫画としても良作です。
鬼灯の冷徹
深夜枠ですがアニメ化もされましたので御存知の方も沢山いらっしゃいますでしょう。
地獄の閻魔大王の補佐官鬼灯様の地獄での日常や、どんな地獄があるかなどの説明がシュールに描かれています。
最初に「鬼灯の冷徹」を読んだ時、そのシュールさとストーリーのテンポに懐かしさを感じました…その懐かしさは何だろう?と思って記憶を手繰り寄せた所、懐かしさの出処は私が若い頃に読んでいた「お父さんは心配性」に通じるテンポだったのでした。
勿論、地獄の紹介やクールな鬼灯様の容赦ないツッコミや地獄の鬼(獄卒)の仕事ぶりも面白いのですが私は、この懐かしさに惹かれて読み始めました。
こうした懐かしさを感じてみたい方にもお薦めですし昨今和風な物が色々と流行っておりますので、日本の文化や宗教感などを簡単に学ぶのにも最適で御薦めです。
日本の神様や妖怪、果ては御伽噺のキャラクターまで出てきてどうして地獄にいるのか?や、神話の影に鬼灯様が活躍していたりする裏話まで色々な解釈がされていて面白いです。後、個人的にですが、この作者様が描く動物がどれもこれも皆可愛いので動物好きな方にもお薦めの作品です!
少女漫画
17歳の塔
ハツキスで連載されていた藤沢もやし先生のデビュー作です。全2巻と短く簡単に読めるが良いです。
女子高2年生の1クラスにおける、1年間のヒエラルキーの推移を描いた物語。あるいは、クラスの女王の座から一転最下層に堕ちた、さる女子高生の1年間の戦いの物語でもあります。
作品を通じての主人公は第一話主人公の高瀬理亜ですが、基本的にこの作品は1クラス全体の群像劇となっており、1話ごとに語り手の視点を変えていくオムニバス短編式。
とくに2巻からは理亜から女王の座を奪い取った小田嶋の視点が増え、1巻では猫被っていた彼女の苦悩と戦いが描かれています。
私はあまり少女漫画は読まない方なのですが、それでも少女漫画のテンプレ的展開くらいは知っているので、この作品の主人公である理亜はいわゆる「主人公の女の子に意地悪する嫌な奴」であり、成長した主人公に転落させられてからの物語だと受け取りました。
実際のところそういう物語だったのか?というと違っていて、もっぱらこの作品は青春漫画です。とくに青春のマイナス面へのフォーカスが強いんですが、2巻の文化祭なんかは若干プラスの側面もありますね(2巻カバー裏にはその面でのちょっとした演出が)。
象徴的なのが理亜と小田嶋の最終話における、二人の1年間を総括した感想でしょう。二人ともさんざん女王の甘い蜜と底辺の辛酸を舐めきった身同士でありながら、正反対の答えを出しています。
どんなに苦しかったことも辛かったことも過去となり思い出となって、忘れて許し合い、美化していくことになるのだろうと思う理亜。
一方で、苦しかったことも辛かったことも全て大切な自分の一部として受け取り、大人になってからも最低だった日々を忘れないと願う小田嶋。
二人の意見はどちらが正しいとか間違っているというわけではなく、彼女たちの青春の1ページに刻まれるのでしょう。
ちなみに2巻で事態を引っ掻き回すことになった桃原さんが最後までとくに誰かを傷つけようとしなかったのに、そうなってしまったというのが実にファムファタールらしいなとか思います。
G線上のあなたと私
いくえみ綾先生のココハナで連載中の作品「G線上のあなたと私」です。単行本としては2巻まで出ていて、最新巻が出るまで結構スパンがある作品なので3巻を首を長くして待っているところです。
婚約破棄をされ仕事も趣味もない主人公也映子がヴァイオリン教室に通い始め、同じ教室に通うヴァイオリン初心者の仲間と繰り広げられるストーリーです。
私も楽器をしているのでヴァイオリン教室という設定がとても面白く、カラオケでみんなで練習したり、少し上手く弾けるようになってきて弓を新調するなど、あるあるネタはとても共感できます。いくえみ先生自身もヴァイオリンを習っているようで、描写がリアルなところもうなずけます。
登場人物たちはいつものいくえみ先生らしいダークなバックグランドはあまりなく、ごく普通のOLだった也映子、実家暮らしで大学生の理人、義母と同居中の幸恵を中心に、よくいそうな音楽教室の先生、今時なファッションで若者らしい結愛です。ストーリーも全体的に明るくコミカルな部分もありますが、やはりそこはいくえみ先生、切なくてもどかしい恋模様や穏やかな思いやりなど、細やかな心理描写は素晴らしいと思います。歳の差のある也映子と理人が恋仲になるのかどうか、とても楽しみで仕方ない漫画です。
かくかくしかじか
今話題の『東京タラレバ娘』の著者 東村アキコさんの自伝的エッセイ漫画です。涙腺崩壊するぐらい泣けます。芸術を志した人ならなおさらぐっとくるはずです。
幼年時代のエピソードから、芸大に進学するために絵画教室に通う日々の話から、芸大生として遊び呆けて過ごした怠惰な日々や、漫画家として成功して人気漫画家になるまでのことなど、盛りだくさんな内容です。東村先生のルーツを存分に知ることができます。
軽やかに笑いを盛り込みながらも、青春の日々をかっこつけたり美化せずにここまで晒すのかというくらいリアルな描写はさすが東村先生という感じです。
芸大を目指すなかで出会う、美術予備校の日高先生とのエピソードが物語の核となっているのですが、切なくてやるせなくて展開は読めているというのに、やっぱり涙せずにいられません。熱血漢で怒りん坊でこわくって強引だけれど、ほんとうに優しくておせっかい。こんな先生に出会いたかった、と思わずにいられないです。そして、いつか別れがくる日まで慕い続けたいです。
この漫画を読むと、若さゆえの身勝手さで傷つけた人がいるならば、その人の顔がくっきりと浮かんで泣けるはずです。東村先生の「描き続ける」という強い意志が、心の奥にきらりと光る宝石のようにいつまでも残る愛おしい漫画です。
椿町ロンリープラネット
やまもり三香著の少女漫画です。マーガレットで現在連載中で、単行本としては6巻まで出ています。
この漫画のおススメポイントは沢山あるのですが、なんといってもストーリーと登場人物の設定です。
主人公である女子高生の大野ふみは昭和の香り漂う古風な女の子で、父子家庭ながらつつましく暮らしていました。ですが家計の苦しさと父親の借金で、とあるお宅に住み込みの家政婦として働きに出ることになったのです。
それが主人公の恋のお相手となる20代後半の木曳野暁、なんと小説家なのです。
時代小説を専門に執筆する暁先生もまた、言葉遣いや趣味趣向が古風な男子でとてもお似合いな二人なのです。女子高生と三十路目の前の小説家という最高の設定に、誰もが心ときめくと思います。
またやまもり先生の描く主人公ふみの絵がとても美しく、表情の変化がリアルなところも魅力です。女子高生なのに家庭環境のせいもあってかとても大人びた雰囲気があるのですが、ふと見せる透明感のある真顔だったり、泣きそうな笑顔だったり、読んでいて感情移入せざるを得ません。そしてまた表情に変化の乏しい暁先生の男らしい立ち姿は、実際こんなイケてる小説家いたら大変だなと思うほどです。
単行本ではまだ二人の恋が始まったばかりなので、これからの進展がとても楽しみです。
ちはやふる
末次由紀による競技かるたに青春を捧げる高校生達を描いた、いわゆるスポ魂系漫画です。瑞沢高校で大好きなかるたをするために奮闘し競技かるた部を設立し、強敵と戦って行きます。
主人公達はそれぞれ悩みをもち、勇敢にそれにぶつかっていく姿がまさに青春と言う感じで、読んでいて気持ちが良いです。
語るべき魅力はキャラクター達の姿はもちろん、競技かるたによって対話する競技者達の姿。極めた人達の極めた場所での真剣勝負です。
世の中にスポ魂系漫画は数あれど、この漫画は画力はもちろんのこと、スポーツ要素、恋愛要素等どれをとってもクオリティが高く全てが丁寧に、また綿密に描かれています。
何かを極めようとすると、周囲の人と感覚や、重きを置く場所がずれていきます。
そういった他のジャンルにも通ずる精神論のようなものもしっかりと描かれていて、作者さんがどういった経歴の方なのかは知りませんが物事の本質を理解し、リアリティを持たせるのが非常に上手く感じました。
逆にキャラクター達の日常パートは少女漫画に良く見られる風景、描写が多く、少年誌のスポ魂ばかり読んでいる人にとっては新鮮な驚きがあったりします。
競技かるたは世界大会等が無いらしくマイナーなスポーツでありながら、それに全ての青春を捧げると決意した高校生達の真剣な毎日に元気をもらえます。
太陽が見ている(かもしれないから)
いくえみ綾先生の中でも本作は登場人物たちの心理描写が一段と細かく切ない設定になっている作品です。
ストーリーは主人公が中学生のころから始まり、連載の最新作では高校を卒業した後の年齢が描かれています。
主人公となる明るくて個性的な岬、岬に心を開く楡、そんな二人の仲に加わる日帆。三人はそれぞれに深刻な家庭環境があり、人間関係もあまり得意ではない繊細な男女です。いくえみ先生の作品には家庭環境だったり過去だったり何かしら問題がある子がよく登場しますが、今回もさらりと描写されています。
いわゆる三角関係が続くストーリーなのですが、岬と楡の友情や恋というレベルを超えたもっと深いところでつながる絆と、性格も容姿もタイプが全然違う岬と日帆の女同士の友情、感情と過去が入り混じって恋人となる楡と日帆、どれもが混ざり合って絶妙な不安定さがあります。特に岬と楡のやりとりは切なすぎて、セリフではないところの隅々にいろんな感情を感じてしまい涙するほどです。
全体的にはからりと明るい雰囲気ではなく少ししんみり切ない感じですが、何度も読み返してしまうほど胸に響く漫画です。連載中ですので続きが楽しみです。
日常系
よつばと!
あずまきよひこによる日常漫画です。
とっても元気で自由奔放な少女よつばと、それに振り回される父の日々の生活を描いた作品です。
ストーリー自体はほとんどが1話か数話完結型で、ふとした時に手にとって開いたページから読み進められるのも魅力の1つです。
起承転結は薄く張られているものの、この漫画の楽しみ方は主人公よつばの全力投球で毎日を楽しむ姿と、彼女に感化された周囲のキャラクター達の魅力です。
毎日の生活を癒してくれる、究極の癒し。この漫画の世界に悪人はいません。
誰もがこんな生活を送りたいと願う日々が、「よつばと」の世界の中にあるのです。
何より語るべきは主人公よつば。女の子なのにいつもラグラン袖のTシャツに半ズボンを来て、どこかしらを駆け回っています。
豊かな感性をもち、何にでも興味をしめします。無邪気、天真爛漫、彼女を讃える言葉はたくさんありますが、個人的には「天才」が当てはまりますね。
子供の小さい出来事を独特の感性でとらえ、何も迷わない姿を上手く描かれていて、本当に癒されます。
また魅力的なキャラクターがこの作品の見どころなのは間違いありませんが、周囲に描かれるオブジェクトもかなり綿密に描かれていて、普段私達が見ている景色も、改めて見てみるとこんなにたくさんの線で無ければ描けないのかと考えさせられます。
日常
日常という名の非日常を描く、あらゐけいいちによるシュールコメディ。
ポストモダンギャグや非日常系シュールギャグ漫画と題されるこの作品は、とにかく全てが不条理かつシュール。
シュールという言葉を聞いてこの作品を連想する人も多いと思います。
ストーリー漫画版と4コマ漫画版がありますが、どちらも基本的にはショートギャグ。全体的に群馬県愛にあふれた小ネタが仕込まれているのも特徴です。
空気感が好きになれれば、どっぷりと浸かれるギャグ漫画という感じですね。
アニメも人気が出ましたが、漫画で見るとサイレント技法とよばれる方法が多用されています。勢いのあるシーンで文字や擬音を使わないのでわかりやくすくシュールさを演出しています。
特に初見で読む方は日常系漫画としてはいる人も多いですが、キャラクターが非常に奇想天外で、幼いマッドサイエンティストやサイボーグ、しゃべる猫等、リアリティという言葉から逸脱したキャラ達が普通の日常を送るという違和感を楽しむ作品です。
この独特の空気感が好きになれればこの漫画、もう面白くて仕方がありません。
シュールに次ぐシュールと、突然爆発するような演出。
最後の方はこの人の絵柄さえ見れば笑ってしまうような身体になります。
しろくまカフェ
カフェをしているしろくまと、常連パンダやペンギンたちが登場する漫画です。
全5巻からなる漫画で、ほっこりと時間を過ごすことができます。
装丁がとても気に入って、手に取り思わず買ってしまった漫画です。シンプルなのですが、動物たちの描写がとてもよく書けている漫画で、動物たちのキャラクターも個性的。
メインキャラクターは、カフェを営んでいるしろくま。いつも忙しいカフェで経営手腕に長けている。ダジャレを連発するオヤジ的なキャラでもあります。時折見せる策略家な一面がなんとも魅力的です。
パンダがカフェの常連客で、カフェの隣に自宅があり、いつもコーヒーと竹の大盛りを注文している。自己中心的な考え方や、思ったことをすぐに口にしてしまうということも。また、人間にキャーキャーと言われることが大好きな憎めないパンダです。
そして、もう一人の常連皇帝ペンギン。常識人でおせっかいやき。キングペンギンも登場するのですが、同じペンギンなのに犬猿の中なのです。
そのほかにも、人間の笹子さん(しろくまカフェのアルバイト)やグリズリー、半田さんという動物園のパンダの飼育員が登場します。どのキャラクターもとても個性が際立っていて、日常のギャグ漫画なのですが、早く読み進むがもったいないと思ってしまいます。
のんのんびより
月刊コミックアライブにて現在も連載中で、田舎の日常を描いたコメディ漫画。
東京から親の都合で引っ越してきた一条蛍を中心に、宮内れんげ、越谷夏海、越谷小鞠、越谷卓等の田舎に住む人達との触れあいや、都会と田舎のギャップあるある等のアイデアが盛り込まれた全年齢対象の癒し作品。
「にゃんぱす~」の挨拶でアニメでも人気作でしたね。
とにかくのんびりとした世界観と描写、実際に行ってみたくなる景色や田舎暮らしの理想を詰め込んだような作品。
田舎にコンプレックスを抱く女の子や、自分の住んでいるところに誇りを持っている女の子、土地に関連した個性をもったキャラクターはこういった作品ならではで愛着が持てます。
物語が突然転んだりしない分安心して読めることと、たまに入る少し不条理なギャグにクスッときます。
題材となるテーマの割には妙に現実と距離があり、リアリティを追及した作品が好まれる傾向にあるジャンルではありますが、こういった誰もが抱く土地の理想をしっかりと描いていてくれると読んでる方も楽しめます。
あとは主要キャラクターを好きになれるかどうか。
こういったジャンルではキャラクターにあまり大きな悩み等がなく、人間味が無かったりしますが個性豊かたキャラクター達が多く、すんなりと共感できるポイントを見つける事ができると思います。
その他
湾岸ミッドナイト
湾岸ミッドナイトは名前の通り車の漫画です。車の漫画と言うと『頭文字D』がまず有名で、あと『オーバーレブ』などがあります。
私もそこそこ車好きはあるため多少一般の方々よりは車のメカニズムについては詳しいと思うのですが、そんな私など論外になるくらいに、データの裏づけが豊富で面白いです。
しかしながら、私が声を大にして強調したいのは、とにかく登場人物のセリフを通じて作者の楠みちはる氏が読者に伝える内容が深いことです。この世知辛い世の中を生き抜くために、もしくは今、挫折して人生に悩んでいる人に向けて名言のオンパレードです。
その中で、ひとつ挙げるなら、黒のポルシェターボ911使いのブラックバードが言う「秘すれば花」という言葉が私は大好きです。そもそも、この言葉でいう「花」とは、本来、女性を意味するらしいのですが、『湾岸ミッドナイト』では、主に主人公のアキオを称賛する言葉として使われています。ここでこの言葉の意味するところは、自分のことを声高に自慢するよりも、黙っていてこそ値打ちがあるというものです。いかにも、日本人的な発想です。
一方で、私個人としてはアウトプットすることの大切さも感じています。アウトプットの効用は、まずカタルシス的な効果が期待できることです。吐き出して、スッキリすることです。また、アウトプットすることで、自分の考えや新しく知ったことが明確に整理できることです。それでは、なぜ「秘すれば花」を推しているかというと、自分が言いたいことを声高に言えなかったとき、この言葉を思い出すと、不思議にイライラがスーッと引いていくのです。結局のところ、「秘すれば花」と「アウトプット」、大切なのはバランスだと考えています。まだ読まれていない方は、是非ご一読されることをお勧めします。
瑠璃と料理の王様と
瑠璃色食堂の大学生女亭主・瑠璃と、出版社の冴えない丸太のコンビが、権威主義の料理人たちをぎゃふんと言わせていくマンガです。
ストーリーは丸太が平成の魯山人と呼ばれる北大路大観に、出版社としては痛手の出入り禁止を言い渡され落ち込むところから始まります。そこで近くの瑠璃色食堂に足を運ぶと、そこの若き女亭主・瑠璃が、スッポンを目の前でさばきます。グロテスクで何かと料理漫画に取り沙汰されるスッポンを女子大生が捌き、さらにそれをラーメンにするという展開にはずいぶんと驚きました。
高級料理に使われるスッポンをラーメンに!
このマンガはなかなか手に入らない食材をモチーフにして展開していくのかと思いましたが、二話以降からずいぶん雰囲気がかわります。身近な食材とレシピまで出てきました。
豆腐を水切りしてあげる料理。ナポリタンや漬物の漬け方。簡単なのですが、手間をかけ、食材に丁寧に向き合って作られた料理が次々と登場します。
作品で出てきた美味しそうな料理を食べたいと思ったら再現できてしまうのが、嬉しくてワクワクしました。
さらに、名誉挽回のチャンスを与えられた丸太は、瑠璃と一緒に北大路大観と料理で戦うバトルのような展開も出てきます。悪い料理人がやっつけられるというシンプルな展開ですが、人情が絡み、人と人とが繋がっていく、温かな雰囲気も兼ね備えています。読んでいて楽しいうえに、食材への知識も、レシピもしっかり身に付く嬉しいマンガです。
だがしかし
週刊少年サンデーで連載中の駄菓子に焦点を絞ったコメディ作品。
実家が駄菓子屋である主人公、鹿田 ココノツは実家を継ぐ事に対して非常に後ろ向き。
そんな彼のもとに大手菓子メーカーの社長令嬢、枝垂 ほたるが駄菓子の魅力を雑学を交えつつ紹介、解説をして、ココノツに駄菓子屋の後を継がせようとしてきます。
小さいころに食べていたお菓子や知らないお菓子がたくさん出てきて、ストーリーもそうですが小ネタ部分を楽しんでみる事が出来ます。
主人公が女性に巻き込まれていく…という基本設定がありますが、事件的な事はほとんどおこらず日常漫画に駄菓子というテーマを与えた作品というとらえ方がいいでしょう。
ギャグやコメディ部分も一貫して駄菓子と関連付けていて、作者の駄菓子に対する愛が感じ取れます。
お馴染みの駄菓子だけでなく、特定の場所にしか無いご当地駄菓子や「なんでこんなことまで知っているの?」という雑学を妙にリアルなエピソードと共に描き、共感できるポイントがたくさん見つかります。
またキャラクターの人相も実は特徴があって、近年の女性キャラクターのような瞳を大きく描かず、非常に小さく描く特徴があります。
絵柄に特徴を持たせて他の作品と差別化を図っていて「この作者でしか見れない」という要素は、面白い漫画の魅力の一つだと思います。
RAINBOW 二舎六房の七人
舞台は第二次世界大戦終戦直後の日本。罪を犯し「湘南特別少年院」の二舎六房に堕ちた6人の少年が、同房にいた年上の「アンチャン」との出会うところから話が始まります。
ストーリーは、6人の少年達を中心にして進んでいきます。戦後の活気的だった日本ですが、その裏には社会の理不尽さや、人間の汚さが隠れています。
そして、その理不尽が少年達に否応にもなく降りかかってきます。その中でも6人の少年が必死に力を合わせて生きていく様が丁寧に描かれおり、少年達が困難にであったとき、「アンチャン」の教えを思い出したり、仲間と協力して乗りこえていく様は読んでいて非常に胸が熱くなります。
全体を通してダレルこともなく一貫して面白いのですが、特に1章の終盤あたりの面白さは群を抜いています。自分たちの恩人であるアンチャンを脱獄させようと力を合わせる6人の少年の姿は涙を誘います。
また6人の少年達の設定も細かく練られており、キャラがそれぞれ個性的なのもこの漫画の魅力の一つだと思います。
絵も非常に丁寧に書き込まれており、作品の重いストーリや年代にマッチしています。
特に「人間の汚さ」「ボクシングシーンの迫力」はかなり力が入っています。
話の内容が重いので、万人に受けるような漫画ではないですが、私にとっては何度読んでも飽きない、隠れた名作漫画です。
リアル
この漫画は、車椅子バスケットボールの内容が描かれています。この漫画をおすすめする一番の理由が、人と人との出会いや人間性がしっかり描かれていて凄く考えさせられる漫画だからです。
小説やテレビなどで考えさせられる事はあると思いますが、漫画で考えさせられるのは、リアルが初めてです。その他にも、リアルの良さは漫画の内容にあると思います。
漫画の内容は、主人公や車椅子バスケットボールの事がもちろんメインになっていますが、それだけではなく、主人公に関わるチームメイト・家族・友人・恋人にも
それぞれ、一人一人がしっかりとしたストーリーが描かれているので、飽きずに読む事が出来るのがリアルという漫画の面白い所だと思います。
もちろん、リアルという漫画にも良い所があれば悪い所もあります。悪い所を言うと、リアルの序盤は全体的に話が暗いです。主人公が車椅子バスケットボールに出会うまでに色々複雑な思いがリアルに描かれているので少し内容は難しくなってしまいます。
そのため、子供向けではないのが残念です。発売期間が不定期なのも少し難点です。
ですが、これもリアルという漫画を読んだら発売期間が不定期になるのも分かります。それぐらい、内容がしっかり描かれています。是非、リアルという漫画を読んでみてほしいです。
金田一少年の事件簿R
30〜40代の方には懐かしい『金田一少年の事件簿』、漫画を読み始めてから堂本剛主演のドラマを見た方も多いと思います。
「じっちゃんの名にかけて」が名ゼリフの金田一少年の事件簿が最近リメイクされました。それが『金田一少年の事件簿R』です。
前作の続編という形でキャラクターの配置を変えていないところが、前作の金田一少年の事件簿に慣れ親しんだ私のようなファンにも読みやすいところです。
リメイクは現代社会に合わせて細かな設定の変更もあります。例えば金田一少年が証拠集めの段階でスマホのカメラやメモ機能で“物証”を活用している事があります。前作のアリバイや不自然な発言をつく推理に加えて、強力な物証という動かぬ証拠を取り入れる事も、証拠が重要視される実際の刑事事件の捜査に合わせており現実的になっています。
また、細かな部分では金田一少年のライバル警視庁の秀才明智警視、そして「剣持のおっさん」で知られる剣持警部2人の関係性にも変化があります。キャリアと才能を重要視し「剣持くん」「君は○○したまえ」と年上の部下剣持警部を下に見ていた明智警視。彼も現代社会の職場に合わせ「剣持さん」「お願いします」と、今時の職場に合わせた配慮をしている事も自然に描かれています。
まだ金田一少年の事件簿Rを読んだ事のない前作のファンの皆さん、新作も面白い漫画ですよ。
トモダチゲーム
2000年代後半はカイジやライアーゲーム、デスノートなど頭脳戦を描いた漫画が続々と実写化され人気を博しました。2017年、新たにこのジャンルの人気漫画が実写化されるのをご存じですか?それは週刊少年マガジンで絶賛連載中の「トモダチゲーム」です。
主人公の友一は高校の仲の良い4人の友達と共に借金返済のゲームに巻き込まれることになります。ここまでは最近の漫画の定番という感じですが、こちらは一味違います。基本的に見知らぬ他人と参加する他の作品とは違い、参加の過程でお互いの不審な行動に気づいたり、知られざる過去が明らかになる事で段々と疑心暗鬼になってゆく様が仲の良い友人同士故に、より胸を苦しめます。
巻を追うごとに登場人物の印象が二転三転するので非常にスリリングです。ゲームの真の黒幕、謎の運営について、そして主人公の過去とは!?謎が謎を呼びます。ゲームも単純なルールから始まり少し複雑な物も登場し読者を飽きさせません。
またストーリーだけではなく絵柄も非常に魅力的です。現代的かつ流麗なタッチで、男子はかっこよく女子は可愛く性格も個性的に描き分けられています。メンバーの恋愛事情もストーリーの鍵となっており、男性も女性も楽しめる事うけあいです。ぜひ一度ご覧下さいませ。
あそびあそばせ
日本の漫画至上ここまで表紙詐欺と呼ばれている漫画は存在しないと思います。
発売から1年もたたぬ内に2度の重版となった涼川りん先生作の「あそびあそばせ」はそんな作品です。
表紙のまるで少女漫画の様な、可愛らしく繊細なタッチの美少女に惹かれて購入された方は、彼女の秘密を知り驚くでしょう。これは萌え漫画ではなくなかなかハードコアなギャグ漫画なのです。
舞台は女子校、表紙の金髪美少女オリヴィア、おさげでリア充を憎む華子、黒髪ボブの眼鏡っ子の香純の3人は放課後に誰もが一度は経験した様な懐かしい遊びに興じます。例えばあっちむいてホイ、手押し相撲などです。
一見ほのぼの系日常漫画の様ですが、この3人がなかなかエキセントリックかつ狂気じみており様々な事件を巻き起こします。思わず頬を緩めたくなる様な可愛らしい表情のコマが続いたと思ったら、次のページではとても同一人物と思えない劇画調のタッチに変わるという事はしょっちゅうです。
作者の圧倒的な画力と3人のおバカさがあいまり、かなりシュールな世界感を作り出しています。
こちら現在2巻まで刊行されており、ヤングアニマルDensiにて無料でWeb公開もされています。
美少女とお遊戯のコラボから生まれた新感覚のギャグ漫画をぜひお試しください。
甘々と稲妻
「このマンガがすごい!2014オトコ編」で8位を獲得し、アニメ化もされた雨隠ギドによる日常料理漫画。
主人公の高校教師、犬塚公平は病で妻を失くしてしまいます。料理がほとんど出来ずない公平は娘つむぎと毎日出来合いの料理を食べる生活をしていました。
しかし、とあるきっかけから公平の学校の生徒でもある飯田小鳥と出会い、食の大切さや娘つむぎへちゃんとした食事をさせてやりたいという想いに駆られ、定期的に小鳥の母の経営する料理屋「恵」で手作り料理の食事会をしていきます。
この漫画のメッセージはシンプルな「食」という文化の大切さです。
ただ食べるだけでなく、不器用ながら料理を覚えていく公平と、知識はあるものの包丁が使えない小鳥によって作られる美味しそうな料理の数々。何より出来上がった料理を食べて心の底から「美味しい」と喜ぶつむぎちゃん。
生物活動に必要なエネルギー摂取の手段としてではなく、もともと「食」という言葉に込められた意味を考えさせられる漫画です。
少し大げさではあるものの、無邪気なつむぎちゃんの予測不能な行動も愛らしく癒されます。
絵もポップで非常に読みやすく、どうしても説明がちになる料理パートの文字数の多さもそこまで気にならず、ストレスフリーで読む事が出来ます。